その昔、まだ仮想軍隊をやってた頃、自動車で行くミリタリーキャンプの時は、必ずキャプテンスタッグのスクラムキャンピングランタン(以下、スクラムと略す)を持って行っていました。自分だけでなく、ほぼ全員が個人装備として持っていたものです。
   この実売1000円くらいのライトというかランタン、何が良かったかというと、置く、持つ、吊すと、ライトとしてもランタンとしても使える点でした。しかも単一電池4本で7時間も点灯できるパワフルさ。その便利さ故に、全然ミリタリーな装備でないのに、隊の制式装備であった訳です。
   しかし、隊が活動停止となり、キャンプも自分一人でバイクで行く、という事になると、さすがにこんな大きな物を持って行く訳には行きません。そこでミニマグライトをライトとランタン両用に使う方法などを公案して、軽量小型化に努め、スクラムは長らく自宅の非常用懐中電灯として使っていたのです。
   ところが、レース活動を始め、自前でトランポを装備して、かつ車中泊を行う様になり、このスクラムが再び陽の目(使うのは夜ですが)を見る事になりました。


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スクラムの特徴は、
「置く、持つ、吊る」の3通りの使い方が出来る
ライト&ランタンである、という事です

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単一電池4本、クリプトン球使用で
決して暗いという訳ではありませんが
時代に沿ってLED化を試みます





■LED化の目的

   トランポが実戦配備されて、直ぐに現役復帰したスクラムですが、これだけの大きさを持ち、かつ単一電池を4本も使うのに、光らせているのがクリプトン球1個というのでは、あまりにももったいない、と感じたのは、やはり時代の流れというものでしょう。何せ、ミニマグライトもトランポのルームライトも、全部LED化している訳です。それらLEDライトはことごとく電球よりも明るく、かつ消費電力も少なく(つまり電池長持ち)、球切れも起こさない。となれば、スクラムもLED化しようじゃないか、という発想になろうものです。
   そこで考えたのは、スクラムをLED化して、夜間の野外での「強力な」作業灯にしよう、というものでした。具体的には、真っ暗のパドックで、バイクをトランポから積み卸しする作業や、バイクのチェーン掃除などの簡単な作業を行う時に、地面に置いて照明を当てる、といった作業に使う訳です。スクラムはスタンドの角度を変える事で、光に指向性を持たせる事も出来ますから、その手の作業には打って付けです。もちろん、誰か居る場合は、持って照らして貰う事も可能です。
   実はこの企画の前に、市販のLEDランタンを購入する事も検討していたのですが、それこそタダのランタンで、地面に安定して置いた状態で、ある方向に光を指向させる、という使い方は出来ないものでした。

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買ってきた物
1/4Wカーボン抵抗120オーム100本
超高輝度LED、OSPW5111A-Z3(最終的には80灯)
ユニバーサル基盤とリード線


■LED工作の基本

   さて、自作するからには自分で作らねばならないのですが(当たり前だが)、発光ダイオードなど使った事がないので、勝手が分からない。ネットで色々調べてみましたが、どうやら抵抗を噛まさないといけないらしい。しかもLED1個に抵抗1個とか、それを並列に繋ぐとか、何だかごちゃごちゃでよう判りません。しかも、それを複数基盤に並べなきゃ行けないのですが、具体的にどうやって回路を作ったらいいか良く判らない。という事で、思い立ったが吉日、という風にはなかなか事が運ばなかったのです。
   まず、LEDは2ボルト以上の電圧がないと動かないらしい。乾電池は1個1.5ボルトなので、1個だけだと光らない。ところが、2個繋ぐと3ボルトになるので、1ボルト分多くて焼け切れてしまうそうです。そこで、2ボルトになるよう抵抗を噛ます必要が出てきます。もっとも、英語と数学は赤点だったし、物理もどうだか判らない点数しか取った覚えしかないので、ヤヤコシイ計算は無理です。しかし、ネット時代は有り難いもので、LEDの抵抗値計算を出来るサイトがありました。これでどの抵抗を買えば良いかは、一発で判りました。
   次にLEDと抵抗の繋ぎ方は、ここで勉強しました。足の短い方に抵抗を繋ぐ、と単純に覚えただけですが(笑)。そして、足の長い方同士、抵抗同士を繋いでいくと並列になります。基盤への並べ方は、碁盤状にするか放射円状にするか迷いましたが、砲弾型LEDを使う事にしたので、放射円状としました。
   使うLEDは、直径5ミリの砲弾型、半減角15度、30,000mcdの超高輝度タイプを使いました。理由は10個で450円で安かったからです。抵抗はLEDの電圧が3.4ボルトだったので、1/4Wの120オームの物を買いました。これらは全部、アキバ原の秋月電子で調達しました。

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取り敢えず組んでみたの図
無事に点灯して、ほっと一安心

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しかし、なんか深海のクラゲみたい
やはり20灯そこらじゃ、威力不足です




■スクラム1号、完成

   まず、買ってきたユニバーサル基盤をスクラムのレンズに入る様に丸く切り(鉛筆で書いたあと、カッターでけがいて、ニッパーで要らん所を切り、最後はサンドペーパーで丸く仕上げた)、続いてLEDを円形に配置しました。あまり深く考えず、中心から放射状になるように配置しただけです。抵抗はどう付けようか迷いましたが、基盤の表側に立てて付けました。LEDの向きは、あとで間違わない様に、全部同じ方向を向けました。
   配置が決まったら、一個ずつLEDを半田付けして、その後に抵抗を付けていきました。そして、LEDの足の長い方を残し、短い方を抵抗の片一方と半田付けして余分な足を切り、その後でLEDの足の長い方だけと、抵抗のもう片一方の足だけを良い感じに(所々短くて足が届かないので、切り落とした足を継いで使った)接続して、電池に繋いでみると、見事に光りました。
   しかし、20灯では何だか暗い。もっとビカビカに明るいのを想像してたのですが、確かにLED自体は明るいんですが、空間そのものはあまり明るくありません。そこでLEDを追加で80灯買ってきて、89灯にしました。ただし、無計画に順次増設したので、基盤の裏がエライ事になってしまい、100灯全部は付ける事が出来ませんでした。

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そこで一気に69灯まで増加
ただし、拡散角が15度と狭く光りにムラが目立ったので
光拡散キャップを取り付けました

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80灯まで増やすつもりが、69灯と中途半端になったのは
無計画に増設したため
基盤の裏側がかなりカオスな事になってしまい
それ以上増やせなかったのです


■使ってみた感じ

   まず、クリプトン球と比較した感じでは、若干明るくなったかな、と思えました。光度が同じくらいなら、電池の消費量はLEDの方が少ないのですから、LED化した利点は生きている事になります。
   しかし、ライトとして考えた場合、光拡散キャップを付けた関係で、光に指向性がなくなりましたので、あまり利点はありません。このスクラムはスイッチをスライドさせる事で電球が前後し、調光する様になっているのですが、レンズに基盤をはめ込む関係で、調光機能は死んでいます。
   ただ、屋内で使う分には、十分な明るさを持っていますので、取り敢えず実戦配備してみて、どうしても暗い様であれば、もう少し強力なLEDに変えても良いでしょう。

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40Wの電球よりは強力かなぁ〜、という感じ
でも、シャワー浴びるには全然不都合ありませんでした

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余ったLEDを、100均のライトにも仕込みました
これはLED自作ライトでは定番ですね