エンデューロレースに参加するまでは、転倒もした事がなく、自分でバイクをいじる事もなかったので、工具を使う用事もあまりありませんでした。だから工具を独自で揃え直すのは、せいぜい車載工具をグレードの高い物に変える、という程度のものでしかありませんでした。
   しかし、実際にレースに出てみると、やはりあれこれ不都合が出てくるもので、他の人に借りる(ここら辺がソロツーリングとは違うのですが)といった事もままありました。そこで、この半年間の体験で、補足した部分を紹介します。



■14mmと17mmのレンチ
   車載工具には、14mmのオープンレンチと17mmのアスクルレンチが入っていまして、17mmの方はフロントアスクルを回すのに必要という事が判ったの ですが、14mmの方は一体どこに使っているのか、見た目判りませんでした。そして、17mmの方もパンク修理出来ないなら持ってても意味がない、という 事で、2008年5月時点では14mmのコンビレンチとソケット、17mmのコンビレンチは軽量化のために外していました。
   ところが、17mm のコンビレンチの方は、2008年5月の富士ヶ嶺合同練習の時に、DRCのサイドミラーを外すのに必要だという事が判り、他の人から借りるハメになりまし た。そして14mmの方は、2008年9月のヒーローズED210でサイドスタンドを外さねばならなくなり、サイドスタンドを留めているボルトが14mm だったのです。この時も相方からコンビレンチとソケットを借りたのですが(ボルトとナットで駐まっているから、2つ要る)、これらの経験から、14mmの コンビレンチとソケット、17mmのコンビレンチを工具セットに復活させました。
   もっとも、17mmのレンチですが、後述する様にタイヤレバー の方にも17mmのレンチ付きの物を揃えたため、わざわざミラー外すためだけに重いコンビレンチを装備してないで、ミラー用として小さなモンキーレンチに 変えようか、とも思わなくないのですが、もしかしたら、とんでも無い所に17mmが使われているかもしれないので、そのままにしています。

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結局、14mmと17mmのレンチを復活
かなり重たくなってきたので
ライツールに替えたくなってきた



■タイヤレバーとパンク修理道具
   タイヤレバーは、キジマのレンチ付きの物で、19mmと24mmの2本(このサイズはリアアスクルを回すため。フロントの17mmはコンビレンチで対応す るつもりだった)を持っていましたが、実際にタイヤ交換をやってみると、タイヤレバーは3本あった方がやり易い事に気が付き、急遽、ネットオークションで 17mmのレンチ付きのレバーを買いました。すでにキジマのレンチ付きタイヤレバーは製造中止になっているので、オークションでしか手に入りません。
タイヤレバーが2本だった時は、KTCの二輪向けメンテナンスセットのバッグに入れていたのですが、さすがに3本は入れにくかった事から、タイヤ関係の工 具やスペアチューブは別に分ける事にしました。内容は、前後チューブ(ノーマル)、古Tシャツ2枚、タイヤレバー3本、小物入れ。
   この小物入れ ですが、中身は、ビートワックス、パッチ、布ヤスリ(60番)、キジマの「パンク修理器具」。このパンク修理器具というのは、チューブのバルブをホイール の穴から出しやすくする器具で、ほぼ同じ物がDRCではエアバルブプーラーと呼ばれています。これがあると、バルブが出しやすいです。
プラハンマーも、チェーンを張る時にアジャスター叩いたりしますので、無いと意外と困るのですが、タイヤ関係の袋に詰めると形が崩れて収まりが悪いので、単体で荷箱の隙間に押し込む事にしています。

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レースの時には替えのチューブも装備するので
パッチやゴム糊はいらないんですが
一応、念のため
ピンク色の輪っかが付いているのが
キジマの「パンク修理器具」
ムシ回しも付いてて、嵩張らなくてグッド



■バイクリフト
   普段用とレース用のホイールを入れ替える、という贅沢な戦略を立てた訳ですが、安全かつ迅速な作業を行うためには、もはやジャッキアップする、というやり 方ではダメだと感じ、バイクリフトを買う事にしました。色んなメーカーから様々なバイクリフトが出ていますが、自分は安全性を考えて、DRCのHC2バイ クリフトを買いました。このリフトには、贅沢にも油圧ダンパーが付いているので、下ろす時に「ガシャーン」とならず、ゆっくり降りてくるのでとても安全で す。
   バイクリフトを買ってから、ホイールの交換作業は言うまでもなく、チェーンの掃除や注油っも楽になり、前は義務的に整備してたのが、段々整備するのが楽しく感じられる様になってきました。

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そこそこの値段はしますが
あると無いとじゃ、大違いです
ぜひ買っておきたいものです


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オフ車っぽい整備が出来る訳ですが
「ぽい」だけでなく、本当に役立ちます




*今後の思案*

   レース絡みでやる事が増えている関係で、それに対応した工具がこれからも増えていくと思います。ただし、いわゆるハンドツールはそろそろ揃いきったかな、という感じです。
   また、これまでは出来るだけ一カ所に集中させて、要らない物を外して軽量化する、という方向性をとっていました、これからはTPOに合わせて小分けする、という方針に切り替えていくと思います。


■追加予定の工具
   今後、参加するレースの多くは、サイドスタンドを当然の如く外さねばならない事が予想されるので、その為の工具は必須となるでしょう。すでにサイドスタン ドスイッチはキャンセルしましたので、あとはボルト外してスプリング外すだけで済みます。ただし、このスプリングの付け外しが工具なしだと結構大変です。 バイク屋では、長いプラスドライバーを使ってテコの原理で入れてしまいますが、素人の自分では少々難しい。ところが、スプリングフックを借りたところ、簡 単にスプリングの付け外しが出来ました。今のところ、サイドスタンド以外に使い途がないのですが、今後、マフラーとかの作業でも使うようになるかもしれま せん。

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色んなメーカーから出ていますが
キタコの物は柄とフックが分割できて
携帯性が良さそうです


   レース用のホイールに、48丁のスプロケを組み込んで、重低速仕様にした訳ですが、普段用は40丁ですので、チェーンも付け替えねばなりません。そこで必 要になるのがチェーンカッターです。これは本来はエンドレスのチェーンのピンを押し外して、チェーンを切るものですが、チェーンを付け替える時はコマのプ レートを圧入しなければならないので、圧入できるチェーンカッターを使います。チェーンカッターもピンからキリまであるのですが、安物は壊れやすいので、 そこそこの物を買う予定です。

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安い物でいいですよ、とは言われたものの
そうそう使わない物のためか
あまり近所では売ってないので、バイク用を買おうかと


   当初、自走でレースに参加する覚悟をしていましたが、今ではすっかり軽トラ派(あえてトランポとは言わない)です。そして軽トラの荷台に積んだバイクは、 タイダウンで固定するのですが、その際にフロントフォークに噛ませるブロックを使うと、かっちり固定できるのだそうです。フロントフォークは振動に合わせ て上下するので、あまりぎっちりタイダウンで固定するとフォークを痛めてしまうとか。かといって緩いと、振動でタイダウンが緩んでしまい、洒落ならん事に なります。これは工具というより、トランポ用品なんですが(しかも少々高い)今後の事も考えて買っておこうかと思います。

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色々調べましたが、UFOの物しかありませんでした
昔は他のメーカーも出してたらしいですが
まぁ、機能的には変わらないでしょう


■バイスグリップか、プラヤイヤーか
   まず、実は前から気になり出したのですが、果たしてバイスグリップって、ホントに役に立つのでしょうか。バイスグリップの本来の役割は、ナメて回せなく なったネジやボルトを回すための物だと思うのですが、ガルルなんかによく載っているのは、折れたレバーやペダルの代わりにする、というものです。しかし実 際には、なかなか折れませんし、レバーにせよペダルにせよ、レースの時はスペアを持って行くので交換・修繕は可能です。
   となると、今度はプライヤーやペンチの代わりとして使う、という事になるのですが、その目的としてはとても使いにくいのです。まぁ、本来の目的とは違う工具ですから当たり前の事です。しかし、現場でよく使うのはプライヤーやペンチなのです。
   その様な訳で、バイスグリップを外すか、スペアポーチに移して、KTCの立派なプライヤーを復活させようかと検討中です。

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嵩張るという理由で外していたプライヤー
でも、現場じゃ結構使う



■携帯工具
   レースでは気が付いたら転けているのですが、転ければバイクも壊れる確率が高い訳で、特にハンドル周りは確実に地面にヒットする所だけに、何かあります。 実際に自分もレバーのブラケットがずれた事があります。その時は何も持ってなかったので、そのままピットインした訳ですが、8mmのレンチがあれば、その 場で直す事が出来ました。
   よくラリーなんかでは、必要な工具を身に付けていったりするのですが、エンデューロでは(オープンコースはともかく、 クローズドの場合)あまり持って行かない様です。自分も今まで持って出た事はないのですが、携帯の仕方さえ邪魔ならない方法があれば、持って行っても良い かな、と思う今日この頃です。

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欲張ればキリがなくなる訳ですが
8mmと10mmは良く使うかも?


■これはスペアになるのか?
   工具セットには、クランクケースに穴開いた時用の鉄パテと、予備のプラグが入っているのですが、これをスペアパーツのポーチに入れず、工具セットの方に入れているのは、「出来るだけ一カ所に集中させて」というツーリング用工具セットの時の名残です。
   実のところ、鉄パテも替えのプラグも日常的に必要を感じる瞬間はないのですが、ないと不安かな、というのはあります。特にレースの時はそう感じます。工具セットの方からは外しても、スペアポーチの方には入れておこうかな、と思う訳です。

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他の人のレポートを見ると
鉄パテや予備のプラグが役立った、という話しが多いのですが
自分はまだその域には達してない様です


■スペアポーチ
   本来はスペアのレバーを入れておくポーチだった訳ですが、今は携帯用のチェーンオイル、グリス(入れ物はワコーズだけど、入ってるのはデイトナの汎用)が入っています。この内、一番使うのがチェーンオイルです。
   正直なところ、役割が曖昧だったりするポーチですが、上に挙げた鉄パテ、プラグやプラグレンチ、予備のボルトなどを入れたら、もっとそれらしくなるかな、と思います。ここら辺は、今後の活動次第によって変わってくると思います。

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ポーチは大きいが、入ってる物はこれだけ
ただ、バラで持つには嵩張って邪魔になる。。


   ざっとこんな感じです。今のところ、何か目新しい作業をする度に、新しい工具や道具が追加されている様な感じです。当分、この流れは続くと思います。以前 との大きな違いは、以前は基本的にツーリングでのトラブルを想定した工具の揃え方だったのですが、今はエンデューロレースを主目的とした揃え方になった 事、そして携帯工具だけでなく、自宅に備えておくガレージ用工具が増えてきた事です。ツーリングの時に(しかも1泊程度では)大げさな工具は、まず要らな いし持っても行かない訳ですが、前みたいに「使えない工具を持ってても仕方ない」といった様な消極的なスタンスから、徐々に脱却できつつあるのがウレシイ です。