ダートエンデューロ(耐久)レースは、主に制限時間内でどれだけコースを多く周回するかを競うレースである。バイクの排気量やライダーの性別などでクラス分けがされていて、それぞれがコースを混走する。たいがいはライセンスも不要で、マシンも街乗り用をそのまま使用できることもあって、ダートエンデューロは最も始めやすいレースの一つなのだ。
きらたかし『バンジー☆ライダー』より

 自分が初めて「エンデューロ」という言葉を知ったのは、この漫画を読んだ時でした。それまで自分が持っていた「レース」の印象は、F1みたいに訓練されたプロか、それに近い人がやるものであって、自分の様な素人が関われるものではない、というものでした。しかし、この漫画の主人公は、彼氏に半ば無理矢理レースに出さされた女の子で、レース経験はおろか、林道さえも走った事のなさそうな感じでした。それでも出れる、という事は、自分でも出れるかも知れない、と感じたのが事の始まりでした。
 自分がエンデューロレースに出ようと決意した理由のもう一つは、「マシンも街乗り用をそのまま使用できる」と書いてあったからです。と言うのも、モトクロスでは公道を走れないコンペモデルをみんな使ってますが、あんなのを買う余裕はありません。置き場も無ければ、トランポも軽トラも無いので運び様もありません。だから、マシンがレーサーで無ければダメ、という事であれば出ようがありません。しかし、市販車で良いなら今乗っているバイクが活用出来ます。ちなみに、この漫画の主人公達が乗っているのは、ヤマハのセローです。セローに比べたら、XR250の方が戦闘的、と信じてますので、なお結構な事です。
 そうこうしている内に、とある友人が旧型のXR250でレースに出て、XRはレースでも十分使える、と言ってきました。だったらオレも、という事で、自分のエンデューロライフが始まったのです。

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XRを買う前に、やってみたいと思ってた改装
2008年9月現在
外装は概ねこれに近くなった




■レース用のタイヤを履かせる
 上記の様に、漠然とした考えでコースに突入した訳ですが、まず一番最初のつまづきとなったのが、6月にオフロードヴィレッジに自主トレに行った時の事。8000km走った山の残り少ないトレールタイヤでは、マディのコースはたった5mも走れない事が嫌というほど判ったのでした。腕に心得のある人でも難しいという訳ですから、下手くそはタイヤにもっと気を遣う必要があった訳です。
 普段使う街乗り用のタイヤの他に、レース用のタイヤを履かせる必要を悟った訳ですが、そうする為にはタイヤ交換の技術を身につけねばなりません。そこでクライゼルのあんちゃんに頼み込み、タイヤ交換の手順を習うと同時に、始終タイヤ交換するのは大変という事で、もう一組ホイールを買って、レース時にはタイヤをホイールごと換えれる様にしました。今まで、せいぜいチェーンにオイルを差す程度の事しか出来なかったのに、ホイールを交換する手順を身につけたのは、大きな前進であったと思います。
 レース用のタイヤはどれにするか、当初は全然判らなかったのですが、様々な人からのアドバイスを参考に、一応自走する事も念頭において、ミシュランのAC10を履かせる事にしました。もし、自走を考慮せずに済むなら、M12あたりを履かせたかもしれません。もっとも、レース用のタイヤで公道を走ってはイカン、という法律はないそうですが。

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シルバーのホイールがレース用
黒は普段用です



■スプロケを換える
 レースを始めてしばらくしてから、スプロケを換えた方が良い、というアドバイスを受ける様になりました。しかし、スプロケを換えるとどんなメリットがあるのか、また実際にどの様な変化があるのか、何度説明を受けても理解する事が出来ませんでした。
 判らないまま、取り敢えず換えてみようという事で、7月の富士ヶ嶺のベースキャンプEDの直前にフロントスプロケを12丁の物に換えてみました。ノーマルは13丁です。この時受けた説明は、フロントの1丁はリアの3〜4丁に相当する、という事で、フロントを1丁落として12丁にしたという事は、リアスプロケを44丁(ノーマルは40丁)にしたのに相当する、という事でした。しかし、本番のベースキャンプEDではノーマルとの差をあまり実感する事が出来ませんでした。
 F12/R40のセッティングのまま、9月の白河のヒーローズEDに参加した訳ですが、ここは強烈な坂が多く、上り坂ではエンスト連発、下り坂ではジェットコースターという状態でした。そこでカスタムテクニカのにいちゃんの勧めに従って、リアをステンズの48丁に換える事にしました。レーサーのXR250でさえF13/R48ですから、F12/R48はかなり低速よりのセッティングです。
 F12/R48に換装するとどうなるかと言うと、まず一般の舗装路では、F12/R40だったら5速でも100kmくらいは余裕ですが、6速に上げても時速80kmくらいが精一杯になります。その代わり、坂は思いっきりアクセルを開けなくても、トコトコ上がっていきますし、下りは止まる直前まで速度を落としてもエンストしません。周回コースではかなりもたつくものの、アクセル開けるのが怖いライダーレベルの自分にとっては、オフ走行を学ぶのに適当なセッティングの様です。
 リアのスプロケを大きくする、という事は、当然の如くチェーンはノーマルのスプロケの時より長くなります。つまり、ホイールを街乗り用からレース用に換える時は、チェーンも換えねばなりません。ノーマルのチェーンはエンドレスを使ってましたので、当初、これをクリップタイプに換えれるのか判らなかったのですが、クリップタイプでも全然問題なく使える事が判りました。今は、街乗り用はノーマルのDIDの物をそのまま流用し、レース用はEKを使ってますが、クリップの互換を考えたら、どっちも同じメーカーのチェーンにした方が良さそうです。

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ステンズにしたのは、廃泥性が良さそうだから
ただし、チェーンへの負担は大きいとか




■軽量化の取り組み
 9月の白河のヒーローズEDで痛感したのは、ツルツル滑る坂道で転けた時、車重の重いXR250は、起こす度に体力筋力を消耗して、継戦不能になるという事でした。転けなければどういう事はない、と言いたいところですが、下手くそなので転ける事を前提にして、車体を軽量化させる必要を感じた訳です。
 軽量化への取り組みを箇条書きにすると、以下の通りになります。
  • サイドスタンドスイッチを除去
  • マフラーをホワイトブロスに変更
  • AIキャンセル
  • エアクリーナーをツインエアー化
  • フェンダーレス化
  • タンデム用ベルト・ステップを除去
 全部合わせて5kgくらいの軽量化になりました。たった5kgですが、バイクを起こすのが大分楽になりました。これに加えて、本ちゃんのレース時には、ライトの付いてないライトカウルに換え、ウインカー、テール周りは取り外す事にしていますので、さらに若干軽くなると思います。

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マフラーを軽量化したのは効果覿面
リアがすごく軽くなりました


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どう考えても不要部品としか思えないAI
取り払ったら、エンジン周りがすっきり


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エアクリーナーの湿式への換装も
今回は軽量化の意味合いの方が強いです


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エンデュランサーとして使うなら
タンデム関係の装備はまったく不要です


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白いカウルやカバーは赤のXR250用
ライト、ウインカー、テールランプを取り外すと
レーシーな雰囲気になりました



■今後の取り組み
 取り敢えず直したいのがハンドル。今、付けているのはレンサルのグレッグ・アルバーチンのレプリカバーなのですが、これは特段意味があって選んだ訳ではなく、適当に付けただけのものです。オフ走行での基本的な乗車姿勢では、腕は絞る様に脇を閉じる訳ですが、今のハンドルはノーマルに比べても開いた形状になっていて、脇を締めるのが難しく、結果、肘が上がりやすくなっています。この点は改善したいところです。
 軽くしたとはいえ、まだまだ重い車体ですので、さらなる軽量化を目指したいところですが、セルレスは考えていません。となると、あとはタンクをポリ化して、メーターを小型のデジタルメーターに変えるくらいしか、軽量化できるところは見あたらないのですが、ここら辺りは全然研究していないので、やれるかどうか判りません。
 ピストンやカムシャフトをレーサーのME08の物に換える、というのは是非やってみたい訳ですが、今の自分のライダーレベルでは、まだまだ扱いきれないカスタムになる可能性大です。今年一年掛けて相当マシン的にはいじりましたので、来年は自分のライダーレベルを向上させる事に専念した方が良いかな、と思っています。


その後、XR230でXR250の時以上の改装をしました

XR230 記録集