前回のモトクロスごっこで、コースを走る“味”をしめてしまい、それならばと企画されたのが、今回の富士ヶ嶺練習でした。主催したのは、4月13日にその富士ヶ嶺オフロードで行われたベースキャンプエンデューロに参加したやいり君(その観戦に雨で行けなかったのが、そもそもの発端だった)、去年8月に入笠山でキャンプした山男くん、もんべる殿のお知り合いの柿レヂン殿、そして自分の合計4名です。今回の企画では、練習のあと、もんべる家が所有する別荘で催されるバーベキュー大会に合流する事になっていましたので、シュラフを持っての出撃となりました。

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今回は0700時に
東名富士ICを南に下った国道1号線沿いのマックに集合
という事だったので、0430時に出発
何時もそうですが、行き着くまでが既にツーリングです



■富士ヶ嶺オフロード

   自分とやいり君、山男くんは、0700時に現地のマックで集合、という事になってましたので、中でも最も遠い自分は、夜中の3時に起き出して、近隣住民に配慮、というか気兼ねしながら暖気を済ませ、0430時いそいそと出発しました。途中、首都高で何を血迷ったのか、タクシーの後に付いていって銀座の数寄屋橋あたりで高速を降りてしまい、右往左往するハプニングがありましたが、その他は大きなトラブルもなくやはり時速110kmでぶっ飛ばし、0630時、無事に集合場所に一番乗りする事が出来ました。他の二人も遅れる事なく、無事到着。しばし旧交を温めたあと、富士ヶ嶺に向かいました。
   富士ヶ嶺オフロードは、県道71号線の半ばにあり、集合場所からは小一時間のツーリングです。途中、給油を済ませ、コンビニで買い物をしていると、荷台に巨大なKTM950 ADVENTUREを固定した軽トラが通り過ぎていきました。それが柿レンジ殿でした。話しには聞いていましたが、聞きしに勝るデカさでした。その後、富士ヶ嶺オフロードの入り口で待っていてくれた柿レヂン殿の挨拶を交わし、受付で料金(3000円)を払って、4人はいそいそと準備に取りかかりました。

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いかにも“オフロードパーク”といった佇まいの富士ヶ嶺オフロード
でも、終日掛かっていた音楽が、懐メロのカラオケで
どっちかというと
市民プールか観光市場の雰囲気を醸し出していました



■コースを回る

   準備というのは、サイドミラーを外す事。オフ車は壊れないと言われますが、ミラーだけは出っ張ってるだけあって壊れやすいので外す必要があります。自分はさらにナンバープレートまで外しましたが、他のお三方は付けたままでした。外すのは良いのですが、自分のミラーは17のナットで留まっている事をすっかり忘れて、17のレンチを持ってきてなかったので、早速、柿レンジ殿の世話になってしまいました。
   その後、柿レヂン殿を先頭に、準備体操がてらコースの下見。これがなかなか大変。バイクなら勝手に走ってくれますが、自分の足でアップダウンやガタガタの地面を歩くのは、思った以上に大変でした。それでも自分はガエルネのED-PROというエンデューロ用のビブラムソールのブーツでしたから、滑らずに坂を上がる事が出来ましたが、やいり君や山男くんは足裏ツルツルのフラットソールでしたから、難儀してた様です。

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角度30度くらい、延長50m強?
ハートブレークリッジを上がる柿レヂン殿(左)とやいり君(右)
こんな所で止まったら、まず坂道発進は無理
転けたら下まで落ちる他ありません
しかし、この坂は富士ヶ嶺にある坂ではマシな部類とか



   下見が済んだあと、取り敢えずコースを走ろう、という事で、柿レヂン殿の後についてコースを走りました。どうやって走って良いか判らなかったので、取り敢えず3速で進入したのですが、すぐさま2速以上は無理!と気が付きました。前回のモトクロスごっこでも、XR100でせいぜい2〜3速でした。普段街乗りなら、そんなシフトでアクセルを回す、などという事は考えもしないのですが、ああいうコースではそれ位でないと、いざ止まろうとしても止まれないし、また案外回せて、かつ走ってくれるものです。そんな訳で、XR250でも2速で回る事にしたのですが、案ずるよりも何とかで、ブンブンと良く走ってくれました。そして懸案だったハートブレークリッジも、途中で怖じ気づいて止まる訳にはいかないので、ほぼフルスロットル(もちろん2速で)で一気に駆け上がりました。やれば出来るもんです。むしろ、下りの方が惰性でも落ちてしまう事から怖かったです。こんな具合で、3回ほど回った訳ですが、ジャケットの中は大汗、肩はガクガクで、ものの10分か15分くらいで休憩タイムになってしまいました。

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休憩タイム中のやいり君と山男くん
バイクは、手前からやいり君のXR250
その次が山男くんのカワサキ・シュエルパ
一番奥のがワタクシのXR250“グレートストライカー”



■初転倒

   休憩を済ませたあと、またコースをグルグル。今度は自分のペースで回ってみる事にしました。どんなコースでもそうですが、最初は怖々ですが、何度か回ってるウチに慣れてくるもので、徐々にアクセルを噴かせる様になってきます。今回もその様な具合で調子が出てきたのですが、何度目かにハートブレークリッジを上がった時、上がりきったところで勢いを殺しすぎて失速し、そのまま右側に倒れ込み投げ出されてしまいました。
   このバイクに乗って以来、一度たりとして転けた事はなかったので、これが初転倒という事になります。転けた瞬間、感じた事は「あぁ〜〜、やっちったーw」というもので、痛いとか怖いとかいうのはありませんでした。まぁ、思いっきり飛ばしていた訳でもジャンプの着地に失敗した訳でもなく、ほとんど立ちゴケみたいなものですから、痛みもあまりなかったのでしょう。キレイにゴロンと背中から地面に落ち、両手両足を投げ出す形で放り出された様です。その時だけは、見上げた富士の空は、キレイな青空でした。
   いつまでも寝転がっている訳にはいかないので、パッパと起き上がり、右側に倒れたXRをウンショと起こして、エンジンを掛けてみました。昔、ブロスに乗っていた時は、一旦バイクが転けると、キャブが被って直ぐにはエンジンが掛からなかったものですが、驚いた事に一発でエンジンが掛かりました。どうもオフ車の作りは、オン車とは違う様です。そろそろと休憩場所まで戻り、またも休憩タイムになりました。

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転けた時に、地面にぶつかったブッシュガードが
ハンドルに変に食い込んでしまい
グリップが戻らなくなってしまいました
山男くんから借りたナイフで手術中



■転倒、転倒、また転倒

   このコース周回は、自分で判るほどトロトロしたものでした。それもそのはず、コーナーが毎回大回りで、後輪を滑らせてズバッと方向を変える、いわゆる“ブレーキターン”など全く出来てなかったからです。前回のモトクロスごっこでもその方法は習い、その後、各種書籍で要領は理解したつもりですが、頭で判るのと実際やってみるのとでは大違いです。ぶっちゃけた話をすると、後輪がブレるというのは自分の常識では転倒する前提みたいなものですから、怖くて出来ない訳です。しかし、本当に危ない事なら誰もやらない訳で、しかもオフ車は後輪を滑らせてナンボという事らしいですから、是非ともマスターしたい。
   その旨を柿レヂン教官殿に申し出ると、用意の良い事にフットサル用とおぼしきちっこいコーンを4つ四角形に置き、まずは教官殿が手順を見せ、それに倣って自分と山男くんが練習する事になりました。まずは、左回りで四角く回る要領。1速で加速して、コーナー手前で後輪をロックさせ、目線を次のコーンに向け、左足を出す。すると車体は必然的に視線の方向に倒れ込むので後輪が滑って車体がそっちの方向に向く。本来は止まる前に腰を使って車体を押さえ込みつつ、アクセルを噴かして前進するのですが、これがなかなか出来ない。泊まり損ねて転倒、車体が傾き過ぎて転倒。倒れるたびに、漫画みたいに放り出されるオレ。なのにXRは倒れたままエンジンが回っていたり、起こして直ぐにエンジンが掛かったり、よく働くバイクでした。

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右回りの練習中
ビビってるので、後輪はほとんど滑ってません



   右回りは、減速する直前まで足はフットブレーキを踏んでいるので、足を出すタイミングが合わず、また視線も向けにくく(怖がってるから)、左回りほど上手には出来ませんでした。また、四角でなく、直線の往復(つまり、180度のターン)もやりましたが、とても180度は回りきらず、90度回って止まっては再発進という感じでした。
   こういうヘタレな練習でしたが、それでも後輪が滑るのはどんな感じか、その理屈と実際が判っただけでも、教えて貰って練習した甲斐があったというものでした。やっぱり何でもやってみるものです。

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キレイにブレーキターンを決めるやいり君
同じXR(といっても、彼の方が古いが)に乗ってても
乗り手によって、これだけの差


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KTM950 ADVENTUREでギャロップする柿レヂン殿
この重戦で傾斜45度以上のガレ場を駆け上がる
さすがはJNCCエルニド出るというだけの事はある!



■初破損

   そうこうしているウチに、四駆のお客が増えてきたり、霧が出たり、挙げ句には雨まで降ってくるとい具合で、その間は物食ったり(直ぐに腹が減る)、しょーもない事くっちゃべったりして、面白く過ごし、車も雨もなくなった頃合いを見計らい、またもコースに出ました。
   今度は、やいり君が前回、ベースキャンプエンデューロに出た時のコースを辿ろう、という事になり、彼の後についてダッシュ。ところが、ハートブレークリッジを登り切った時に、変な感じに止まってしまって、またも転倒! 今度は後頭部をぶつけたらしく、目から火花が飛びました。チカチカする目をしばたきながら、バイクを起こし、やいり君をおいかけると、今度は心配してまっていたやいり君の隣でおっとっとになり、そのまま彼のバイクも巻き込んで転倒! しかも、やいり君の足をバイクの下敷きにして。「あ、足……」とか言うのが聞こえていたのですが、自分が真っ先に気にしたのは、倒れてやいり君のホワイトスプラッシュ号に接触した時にすっとんだ右のウインカーで、ようやくバイクを起こしたのは、飛んだのはレンズだけで、電球そのものでないのを確認してからでした(タイムラグ、約3秒)。人間(というか自分)は、非常時には自分の事しか考えないものだ、と至極反省いたしました。
   この転倒でたにしパワーの大半を消耗した自分は、そそくさと休憩場に帰投。まずは壊れたウインカーを点検しましたが、ステーが曲がってレンズが飛んだだけで、電球も配線も生きている事を確認して一安心。本当にオフ車は頑丈です。曲がったステーは無理に戻さず、飛んだレンズだけビニテでくっつけておきました。

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レンズの飛んだウインカー
良い感じに曲がってますが、ちゃんと点滅します
オフ車は頑丈です


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柿レヂン殿の重戦に跨って遊ぶ山男くん
自分でも辛うじて爪先が地面に着く感じでした



■本日の練習、終了!

   この後、ますます雨は激しくなり、富士ヶ嶺オフロードのマスター(というか、社長というか、おとっつぁん)のご厚意で、ガレージで雨宿りをさせて貰ったうえ、ストーブまで使わせて貰い、愛想の良いワンワンと遊んだり、ミリタリーな話をしたりしてるウチに、1430時頃になりました。もんべる殿に電話で連絡を取り、1600時頃には山荘に着くと行ったのですが、やいり君はまだ物足りなかったらしくて、雨のなか一人で走り回ってました。
   ようやく満足したのか、1500時、やっとこ撤収作業開始。しかし雨はドンドン降るし、レインウェア着たりミラー付けたり、荷物をやいり君のバッグに入れて貰ったりしてるウチに、1550時。自分なりにはハードな練習だった半日を終えて、柿レヂン殿と別れて富士ヶ嶺オフロードを後に、もんべる山荘に向かいました。
   途中、ガソリンを補給したり(低速ギアでブン回した割りには、70kmで3.2リットル)、コンビニで好きな物買ったあと、山男くんの先導で国道469号線を一路、十里木まで一直線。どんどん濃くなる霧の中を小一時間ほど走り、ようやくもんべる山荘に到着しました。

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撤収と決まって、急に元気になるワシ
ピントの合ってないカメラに向かって
ガッツポーズ


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富士ヶ嶺オフロードのワンワン(右は柿レヂン殿)
ずっと「ペス」と呼んでましたが、本当に名前は「ラブ」です
誰にでも懐っこい可愛いワンでした


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もんべる山荘のバーベキュー大会に合流
風呂まで沸かして貰って、有り難い限りでした



■富士山麓林道群

   バーベキュー大会の後は、山男くんを中心に、「ワーキングプア世代と少子化問題」について熱弁を交わしたあと、0000時就寝。しかし、かなり興奮してたのか、なかなか寝付けず、となりで爆睡してるやいり君を羨ましそうに眺めてるうちに、気が付いたら朝になってました。
   翌日は、昨晩の霧がウソの様に晴れあがり、見事な日本晴れ。今日はこれから富士山麓の林道に行く事になってました。が、昨日、ハッスルしすぎて(練習の方じゃなくて、夜中の熱弁の方)起きてみると、前から引いてた鼻風邪だでなく、喉もガラガラ。もちろん、肩も腕も筋肉痛で痛い。無線機まで持ってきたバックパックは重く、モチベーションはかなり低くなってました。が、行くと約束した以上は、行かない訳には行きません。それに、せっかく富士くんだりまで来たのですから、こっちの林道も見てみたいとも思った訳です。

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こんな見事な林道。さすがは富士山麓です
なのに、十分楽しむ事が出来ませんでした(泣)



   そこで、ジモピーの山男くんを先導に林道に突入した訳ですが、走り易そうなフラットな林道なのに、なぜかエラく怖い。ちょっとしたギャップ、ゆるいカーブでも腕がガタガタする。南房総の林道に比べたら、全然楽な筈なのに、怖くて仕方ないので、やむなく怖くない速度でマイペースに。当然落伍してしまい、最後には迷子になってしまいました。せっかく紹介してくれた山男くんには申し訳ない事ですが、これから150km離れた東京に帰る事もあるので、大事とって林道探索は終了。メシ食って帰路に就きました。

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見事な眺めです
林道の中でも、写真写りの良い場所が沢山あって
また機会を見て、じっくり三脚立てて撮影したいと思いました



----- 評価と反省 -----

*とにかく楽しかった
   今回初めて自分のXRでコースを走る事について、実は行く前はかなり不安を感じてました。足つきの良いXR100で上手くいったからといって、背高のXR250で上手く行くとは限りません。ケガしたり破損したりしないまでも、怖くて怖くて仕方なかったらそれまでです。ですので、かなりビビっていたのが実情でした。
   しかし、実際にコースを歩いてみると、「やれるかもしれない」と思ってしまったから不思議なものです。ハートブレークリッジなど、普通で考えたら怖そうなのですが、「これならやれる」と思いましたし、実際に駆け上がりました。実際に走っている時は、「怖い」という思いよりも、「面白い」と感じる方が勝ちていたのでした。何でもやってみるものです。
   もちろん、今回の走りは、「怖い」と感じない程度の走りであったという事も忘れてはいけないと思います。延べで8回も転けましたが(これは過去に起こした転倒事故の数より多い)、全部低速もしくは立ちゴケで、投げ出されはしましたが、怖いという思いはしませんでした。もちろん、痛い思いもしなかった訳ですが、これは簡単なりともジャケットの方にプロテクションがあったからです。
   何にせよ、入り口で「怖い」と思ったのではなく、「楽しい」と思えたのは大収穫でした。下手だろうがヘタレだろうが、扉は開かれた訳ですから。

*XR250の真価を知る
   今回、コースではほとんど2速で回った訳ですが、公道で使う時に2速で回るなどという使い方は、今までやった事がありませんでした。2速は渋滞の時に使うギアだったのです。ところが、2速でブン回しても良く走り、2速で発進してもノッキングも起こさず、実に乗りやすいバイクである事が判りました。
   また、故障・破損に強いバイクであるのも、今回改めて知った点です。オフ車はオン車と違って、とにかく壊れにくいとは聞いていましたが、あれほど転けたにも関わらず、壊れたのはブッシュガードとウインカー一つだけ。しかもウインカーは壊れても使える状態でした。外装もキズらしい傷が付かず、言われなければ転けたと判らないくらいです。もっとも、立ちゴケ程度ですから、擦った後などは付かないのですが。

*アチェルビス:ブッシュガード
   以前から何人もの人に言われていたのは、「ブッシュガードは転倒の際には、カードが上向きにズレたり、場合によっては根本からハンドルが折れる」という事で、転倒でのレバー保護には役立たずである、という事でした。しかし、せっかく付けた事ですし、見栄えも良いし、聞き流して来た訳です。
   結果は、転倒して一発でガードがずれ、ブレーキレバーがガードから露出しました。修正しても、二度三度転ける内に、ガードがレバーに干渉する様になり、帰りには若干ブレーキを引きずるまでになりました。つまり、多くの人の意見は正しかった訳です。
   そこで、ブッシュガードは廃止。ナックルガードとピボッドレバーに切り替える事にしました。

*メンテナンスセット
   今までのチョイスは、林道などで転けた場合を想定して、最低限度の工具を選んでいたつもりでしたが、使い易さという観点で言うと、あまり使い良いものではありませんでした。
   今回は、ミラー、ナンバープレートだけを外したのですが、今後、さらに多くを外し、かつ付け直す、かつ素早く、となると、多少重くなっても、使い易さ工具を持つ必要がある事を感じました。

*ウエストベルト
   前回のモトクロスごっこでは、準備体操で腰を捻ってしまい、その後、1週間ほど痛い思いをしました。ところが今回はやいり君がウエストベルトを持ってきた、というので、彼が付けてたシメシメのを拝借し、腰に巻いてみました。最初は何か妊婦さんのする犬帯みたいな感じがしましたが、そのウチ慣れてきて、むしろ良い感じになりました。
   そのまま返すのを忘れて(ウソ、意識的に着けてたw)、最後まで着けてたのですが、そのお陰で腰はほとんど痛くならず、とても楽チンでした。これは聞きしに勝る大効果です。ニーシンガードやウェアは、すでに購入予定をしていますが、このウエストベルトは真っ先に手に入れたいものです。