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■飯盒でもええか
キャンプといえば、この飯盒をイメージするくらい、我が国のアウトドアシーンを代表するようなクッカーなのですが、どうにも最近のソロキャンパーには歓迎されてません。その理由は、- でかい
- 一人分としては過剰な容量
- パッキングしにくそう(特にハンドルが)
ざっとこんなところではないでしょうか。かくいう自分も、これまでモリタの角型のノンスティッククッカーが制式装備でした。もっとも、自分がモリタの角型クッカーを採用したのは、鍋の内部がテフロン加工で、ラフな飯の炊き方をしても焦げ付かないからでした。ところが、モリタがなくなり、角型クッカーをユニフレームが引き継いだものの、どっちもテフロン加工のクッカーにはしてくれかった事から、「だったら飯盒でもええかなぁ」と思い始めたのが、この考察の始まりでした。
■特徴
飯盒の構成は、4合炊きの本体、蓋(米3合分の容量)、掛子(中ブタ。米2合分の容量)で構成されています。これは旧日本陸軍が開発して以来、ほとんど変 わっていません。本体は、飯を炊いたり、ラーメン煮たり、レトルトパックのおかずやパック飯を温めたり出来ます。蓋や掛子はもちろん皿として使えますが、飯を炊いている場合は蓋は本体に被せっぱなしになっているので、あまり使えないと思って差し支えありません。飯は一度に4合炊ける訳ですが、ソロキャンプの場合、1食1合くらいですから、その意味では無意味にデカイ訳です。ただし、飯盒の名誉の為に書き添えておくと、2合をソロクッカーで炊いた場合と飯盒で炊いた場合を比べると、飯盒の方が吹きこぼれが少なく(なんといって背が高いので、煮汁が上まで来にくい)後始末が楽です。また、飯盒で炊いた方が美味しく感じます。
■システム性
飯盒の重大な欠点は、飯盒で飯を炊いたら、汁物が作れない、という事です。ソロ用のクッカーの場合は、大抵が大小2つの鍋を組み合わせるタイプでなので、どちらかで飯を炊いて、もう一方で汁物を作る事が出来ますが、飯盒は鍋は実質一つなので、それが出来ません。そうする場合は、別にカップなりクッカーなりを持って行く必要があります。 ところで、一人用としては無駄にデカイ飯盒ですが、デカイだけに中に入れれる物は多少の余裕があります。上の写真は、ユニフレームの角型フライパンを入れたところですが、あつらえたみたいにピッタリ入りました。他にも米そのものを入れる事も可能ですから、自分の好みや必要性に合わせてチョイスすると、かなりシステマチックに運用できるのではないでしょうか。ちなみに、自分は米軍のキャンティーンカップを常備していますし、フライパンの代わりに飯盒のフタでソーセージや玉子を炒めるのなら、角型フライパンを入れずにもう一つキャンティーンカップを入れる事で、大小2つのクッカーを持つのと同じ事が可能であると考えています。
(キャンティーンに装着しているカップは、出来る限り油や食べ物で汚さず、お湯やお茶を沸かす程度にしておきたいと考えている…汚れると洗うのが面倒だし、キャンティーンも汚れるからである)
■携帯性
飯盒の何が邪魔といっても、たき火にかける時につかうハンドルですが、こればっかりは元々からそういうデザインですから、文句のつけようがありません。逆にいえば、あのハンドルが無ければ無いで困るわけで、手になんで小指が付いているかを悩む様なものだと思うしかありません。飯盒とフライパン装備の角型クッカーを並べてみましたが、若干、飯盒の方が大きい程度です。あと、余計な出っ張りがないので、角型クッカーの方がパッキングはしやすいのは確かです。
■その他の考察
ソロ用のクッカーは、基本的にバーナーの上で調理する事を目的として作られているのに対して、飯盒はたき火などに掛けて調理する事を目的として作られています。その違いが本体やハンドルの形の違いになって現れていると言えます。そこで少し思ったのですが、ソロ用クッカーはバーナーでなければ調理する事は出来ませんが、飯盒はバーナーで調理する事も可能であれば、たき火などで調理する事も全然可能でする。
昔、戦争に言った人の本を見れば、飯盒で穴を掘ったり、バケツの代わりにした話しが出てきます。まぁ穴は掘らないにしても、バケツ代わりというのは、キャンプでもよくやります。ソロ用クッカーでは飯盒ほどにはバケツになりません。
自分が飯盒の利便性で一番重要視しているのは、パック飯やレトルトパックを温める場合です。角型クッカーは残念ながら、入りきらないので温めるのが大変 です。しかし飯盒は飯もおかずもどっちのパックも一気に温める事が出来ます。ちなみに、自衛隊の缶飯も入れて温める事が出来ます(というか、缶飯の方が飯盒のキャパシティーに合わせて設計されたのであろう)。自衛隊の物でなくても、市販の楕円形の缶飯だって余裕で入りますから、やはりデカイならデカイなりに利便性があると思います。
そして、ここが大事な点ですが、ソロ用クッカーに比べると、飯盒は実に安い。谷口金属製の物が2500円くらい。エバニューあたりで1500円程度、多少出来が悪いですがキャプテンスタッグの物など1000円くらいで買えてしまいます。ちなみにここに載せている写真の飯盒はキャプテンスタッグの物ですが、立派に飯が炊けます。ソロ用クッカーが3000円も4000円もする事思ったら、かなりのお買い得ではないでしょうか。
思うに、ソロ用クッカーというのは、出来るだけ荷物を軽量小型にしたい登山用装備の要求を多分に入れたクッカーなんじゃないかな、と思います。山とかに行 くのであれば、出来るだけパッキングがしやすい形状をしている方が良い訳で、ソロ用クッカーはバーナーや携帯コンロで温めれる条件が完全に整っている場合には、これ以上ないくらいシステマチックな装備であると思っています。
これに対して飯盒は、事と次第によってはたき火を使う必要性がある場合や、場合によっては自分以外の者にも飯を与えたり、飯炊き以外に使う場合(かなり前に、飯盒でシャツとかパンツを洗った事がある)といった、用途を特定されない、あるいは用途を特定できない状況に向いている様な気がします。その意味で は、バックパッキングやツーリングなどよりも、防災とか戦争に向いているようにも思のです。
自分でストラップを付けてみた
コメント
コメント一覧
その二重飯盒は、旧日本陸軍の「九二式飯盒」の事ですね。
昭和7年に制定された、
蓋、掛子(中蓋)外盒、中盒で構成されていて、
合計で4食分、8合の飯が炊けました。