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行程は往復路とも 京葉道路・千葉東金道路・銚子連絡道・国道126号線

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刑部岬−犬吠埼間要部 肝心の屏風ヶ浦台上を彷徨っている
(実際はもっとゴチャゴチャ走ってる)



*事前にあった事
   犬吠埼の近くに「屏風ヶ浦」なる全長10kmにおよぶ岩壁がある、というのを知ったのは最近の事です。もし、もっと前に知っていれば、昨年8月の犬吠埼作戦の時に撮って帰ったに違いないからです。その時は、それらしい物も表示も見なかったのですが、おそらく十数年ぶりのツーリングでボケッとしていて見落としたのでしょう。あると判ったからには撮りたい訳で、ゴールデンウイーク一発目の連休は、屏風ヶ浦の夜明けのシーンを撮影する事としました。
   さて、行き先が決まったのは良いですが、ここで問題が生じました。というのは、作戦日の3日ほど前からダイエットをまた始め、豆腐とレタスの食生活を始めたのは良いとして、急激に食生活が変わったせいか、腹が下ってしまい、毎回ピーピーシャーシャーのお腹急降下状態になってしまいました。別に腹が痛い訳でもないので、むしろ腹がすっきりすると喜んでいたのですが、どうも下っていく度に体力が落ちてた様で、出発日の昼にバイクに乗ってみると、どうにもフラフラする。何となく元気もない。こらイカンという事で、慌てて米の飯を食い昼寝をしたのですが、今ひとつコンディションの整わないまま、出撃する事になってしまいました。



*屏風ヶ浦作戦の装備
   基本的には前回の伊豆作戦の装備に準じました。撮影機材は、スピードライトとC-PL、ND4のフィルタを追加しただけです。
バイク用の装備としては、前後輪のタイヤチューブを装備しました。これは仮にパンクしたとして、出先のバイク屋で修理して貰うにしても、オフ車用のチューブがない事の方が多いと考えたからです。
食事はすべて現地で済ませる事とし、ストーブやキャンティーンの類は一切省きました。そのお陰で荷物が若干減り、リアキャリアに載せるバッグは、モンベルの3ウェイバッグのアウターポケットだけで済みました。
《撮影機材》
ロープロ・ローバーAW II
ベルボン・ネオカルマーニュ643Q
ニコン・D70s+17〜70mmズームレンズ
70〜300mmズームレンズ
スピードライト
C-PLフィルタ
ND4フィルタ
リモートコード
ペツル・ヘッドライト
ゴールドウイン・ベクター2レインスーツ
ゴールドウイン・ブーツカバー
ゴールドウイン・ベクター2レイングローブ
コンビニ袋(カメラ防水用)
救急セット
《車両器材》
モンベル・3ウェイバッグのアウターポケット
作戦用工具
スペアチューブ前後
アルタ・ニーパッド
《被服》
CWU-45Pジャケット
マリーン・コヨーテフリース
マリーン・フリース・ウォッチキャップ
Gパン
マリーン・コヨーテブーツ
モトフィズ・ウエストバッグ11
   服装も、伊豆作戦と同様に、CWU-45Pフライトジャケット、マリーンのコヨーテフリース、アルタのニーパッドを装備しました。これは出撃する前から夜は肌寒かったからで、夜間走行は相当冷えると見込んだからでした。ただし、日中は暖かくなる事が予想されるので、その場合はフリースは脱いでリアキャリアに載せる事としました。
   それと、前回は忘れたのですが、フリースのウォッチキャップも今回は忘れず持参しました。これは休憩時などに、頭から体温が逃げるのを防止する上で、大変役立ちました。

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冬季作戦被服のワタクシ
自分で言うのもなんですが、珍妙な格好です



*出撃
   夜明けの屏風ヶ浦を撮る、という事で、出撃は例によって夜半過ぎ、という事になるのですが、26日夜は遅番が終わって直ぐという事になるので、27日 0000時に行動発起する事にしました(というか、何となく疲れてた)。天気は快晴。雨が降る心配はありませんでしたが、風呂屋からの帰りがまだ肌寒かったのでフリースを着込んで出撃しました。

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0020時、出撃
装備は基本的には伊豆作戦と同じですが
リアバッグが若干低くなっています



   コースは、京葉道路、千葉東金道路、銚子連絡道を経て、国道126号線を抜けて、屏風ヶ浦南端の刑部岬に至る経路で、目的は撮影であるから、余計な所は走らず、行って来いのツーリングです。去年8月はジョルノだったので、ひたすら下道を走らなくてはならず、しかも時速50km平均だった訳ですが、今回は平均90kmで突っ走れるので、余裕で現地入り出来るはずだした。
   とにかく、寒いのはイヤなのですが自動車道だけにトロトロ走る訳にも行かず、やはり時速90kmくらいで走りました。例によって30分ほどすると寒くなってきましたが、さすが4月下旬という事で、辛抱出来ないほどではありません。千葉東JCTから千葉東金道路に入いると、去年の時と同様に街灯がまったくと言っていいほどなくなり、灯りと言えば、前を行く車のテールランプとガードレールに付いている反射板に反射するXRのヘッドライトの光だけという心細い状況で、バックミラーを見ると、ただただ漆黒の闇という、ターボばあちゃんが出てきても不思議ではない中、横風にあおられながら、ひたすら銚子連絡道の出口である横芝光を目指しました。
   横芝光を出たのは、0130時頃。さすがに寒いし疲れたので、休憩を取る事にしました。しかし、国道126号線沿いは寂れた感じの町並みばかりで、24 時間営業のファミレスなど望み様もありません。仕方ないので、煌々と明かりをつけたコンビニに入り、立ち読みしながら身体を温め、春雨チゲスープと温めてもらったおにぎりを外で寒々と食べました。あまり休まった感じになりませんでしたが、仕方ないので出発しました。
   ところが、少し走ると次から次へと24時間営業の店が現れてくるではありませんか。そしてとうとうガストを発見するに及んで、辛抱できなくなって再度休憩タイムにしました。ド田舎と侮っていたのですが、なんのファミレスくらいはあったのです。これ幸いに防寒具を全部脱ぎ捨て、ヌクヌクと目玉焼きハンバーグにライスを平らげ、足を伸ばしてゆっくり休憩を楽しませていただきました。

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温かいスープも冷めてしまいそうな寒空の下
身も心もプアになりながら休憩
(まだダイエットモード)


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ぽかぽかの暖房の中
好物の目玉焼きハンバーグで大満足
(すでにダイエット糞食らえモード)



*刑部岬に到着〜彷徨えるたにしさん
   さて、いつまでもガストでのんびりしていたいところだったけど、やはり夜明けまでには現地に入っておかねばならない、という事で、0310時頃、後ろ髪を引かれる思いでガストを出て、寒空の下、再びXRを駆って刑部岬を目指しました。そして、ひたすら国道126号線、飯岡バイパスを飛ばす事、40分後、目的地である刑部岬に到着しました。

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   辿り着いたのは良いものの、夜明けにはまだ時間があって、辺りはまっくら。判るのは、どうやら一晩中煌々と明かりをつけているらしい展望台と、平日の夜にもかかわらず、駐車場に停まっているカップルの自動車くらいなもの。取り敢えず、展望台やそこからの飯岡港の夜景や、赤紫色に開けてきた空などを撮影しましたが、それが目的ではありません。屏風ヶ浦への降り口を探さねばなりません。ところが、判る範囲で探してみましたが、それらしい物が見あたりません。当初の目論みでは、「→屏風ヶ浦」みたいな掲示があると思っていたのですが、あるのは「危険」と書かれた掲示ばかりで、岩壁へはどうやって行くのか見当もつきませんでした。
   そうこうしている内に、段々東の空が明るくなってきました。モタモタしてると夜が明けてしまいます。そこで意を決して、それとおぼしき入り口を求めて、 XRで捜索する事にしました。ツーリングマップルでは、屏風ヶ浦の台上を無数に道路が走っている様に見えます。だったら、その近辺を回っていれば、どこかしらに海岸に降りる道がある、と踏んだわけです。
   まだ暗い、それこそタヌキとかキツネが出てきそうな細い田舎道を、軽快な単気筒エンジンの音を響かせながら、トコトコと走り回りましたが、なかなかそれらしい道が見つかりません。そうこうしている内に、耕耘機1台くらいが降りれそうな坂道があったので、迷わず降りてみました。そこは直ぐそばに海があるのに一面の畑で、その道は畑の中の農道でした。少々不安になりながら進んでいくと、一応は舗装されているものの、所々土だったり水たまりだったりする様になり、最後には行き止まりになってしまいました。こういう時、オン車だと展開が大変そうですが、オフ車の場合、降りるのは大変でも一旦降りてしまえば、車体が軽いので押したり引いたりしながら展開するのは苦ではありません(フローティングターンが出来たらねぇ。。)。ヤヤコシイそうな道でも踏破できるのはオフ車ならではです。結局、この畑の中では屏風ヶ浦に降りる道は、あきらかになさそうでした。
   そんな事をしている内に、無情にも夜が明けてしまいました。屏風ヶ浦の神々しい夜明けのシーンはどうあっても撮れそうにありません。「何とかなるだろう」と踏んで、またも失敗した訳です。しかし、ここまで来て何もしないではあまりに詰まらないので、せっかくですから犬吠埼に向かって、何か撮って帰る事にしました。

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犬吠埼に向かう途中
「これは!」と思えるシーンを撮影中
後ろの民家の犬にやたらと吠えられる




*君ヶ浜から銚子マリーナへ〜屏風ヶ浦発見
   途中、何度も止まって三脚を立て、撮影しながら犬吠埼に向かった事もあって、犬吠埼の灯台に着いた時には、すっかりお陽さんは上がっていて、良く晴れた朝になっていました。灯台のある岩壁からの撮影は、去年の8月にやっているので、同じ所から撮ったのではつまらない、という事で、灯台の隣にある君ヶ浜に降りて、そこから渚や灯台を撮影しました。よく年賀状とかに使う犬吠埼の灯台の写真みたいのが撮れて、それなりに満足できました。また、君ヶ浜の駐車場は結構広く、何だったら前の晩に来て、テント張ってそこで仮眠して朝日を撮る、みたいな事も出来そうだと感じました。
   君ヶ浜の撮影が終わったのは、0700時前。まだ朝の7時な訳で、犬吠埼に並ぶお店はまだ開いてません。灯台そのものも0830時にならないと入れない、という事で、せっかくですから、その辺りを走り回ってみる事にしました。そこの観光地図によると、長崎漁港あたりの風景も良さそうなので、暇つぶしに犬吠埼の下半分を走りました。実は、今までは灯台に直行してそのまま帰っていたので、この近辺は走った事がありませんでした。走ってみると、確かに海沿いの道だけあって、なかなかの景観。しかし、さすがにバイク止めて三脚立てる様な気にならず、フラフラと走っていると、時々、立派な岩壁がチラホラ見えてきました。「あれ?あれが屏風ヶ浦とちゃうん?」そこで真剣にちゃんと見える所を探して走っていると、銚子マリーナにたどり着きました。どうやら、ここからの眺めがよくネットとかで見かける光景だった様です。そうと判っていれば、一等最初にここに来たものを。まぁ、今更言っても始まらないので、その近辺をうろついて、岩壁の写真を撮りました。

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銚子マリーナから臨む屏風ヶ浦
かなり遠いので望遠レンズが必要です



*灯台とイタチとタヌキにガクガク
   ところで、犬吠埼にやってきたのは今回が3回目なのですが、今まで一度も灯台の上に上がった事がありませんでした。それもそのはずで、夜中に出発して朝早くに撤収してしまうので、灯台が開く前に帰っていたからです。今回はそもそもの作戦の目的を達し得なかったという事で、せっかくですから犬吠埼灯台に登ってみる事にしました。
   さて、150円払って犬吠埼灯台に入った訳ですが、99段ある階段を一気に駆け上がるのは、徹夜明けの身体には結構キツく、キリのいい数字の段に付いているプレートを撮影しながら、休み休み上がりきりました。99段上がりきっても、さらに10段ほどの急な鉄階段があり(そこにデカい歯車があって、灯台がともっている時は動くらしい)、その狭い間口を抜けると、やっと展望台に出ます。初めて水面上57メートルの高みから世界を見渡した訳ですが、「地球は丸い」と感じるよりも「ここから落ちたら怖いやろうなー」と、思わず足がすくんでしまいました。それでも撮影はしっかりやったのですが、すごく良く晴れていて、三脚使わなくても十分なシャッター速度があって助かりました(もっとも、三脚立てる場所もないですが)。

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おめでとうも何も
この頃には結構息が上がっています
階段の幅が下よりも10%ほど狭くなってましたが
これは灯台が円錐型だからです



   感動したのか怖かったのか判らんままに灯台を降り、展示などをブラブラ見てましたが、この頃になると段々眠くなってきて、何見ても無感動で、そろそろ引き上げ時になりました。それでも2つしかない土産物をしっかり吟味し、職場のお土産に最近流行りの銚子電鉄のぬれせんを買うと、関西の農協の団体らしい関西弁の騒がしい一団が、灯台の展望台に鈴なりになって「いやぁー、高いわー」とか「あ、帽子飛んだで、帽子!」とか騒いでるのを背にして、犬吠埼を後にしました。

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鈴なりになる関西の農協軍団
関西人だけに高い所も平気?



   去年の作戦では、帰りは九十九里沿いの道を走ったのですが、今回は早く帰って寝たかったので、素直に126号線から帰る事にしました。ところが、夜は真っ暗けのお化けでも出そうな道路なのに、昼間はやたら交通量が多く、なかなか飛ばせません。そうしてる内に、眠くてウトウトし始め、会った事もない涼宮ハルヒと何でオレ会話してんのかなー、とか思いつつ、ハッと気付くとダンプのケツにツッコミそうになって急ブレーキかける、みたいなのが増えました。ヤバいです。それだけダラダラした道が続いたのですが、面白かったのは、イタチとタヌキが車にはねられて死んでた事。そういえば、千葉東金道路に「動物注意」という、タヌキの絵の道路標識がよく出てましたが、これはジョークでなく、マジでタヌキが出て来るからなんでしょう。タヌキやイタチが身代わりになるからか、猫や犬(そういえば、犬吠埼にはやたら犬飼ってる家が多い)はあまりはねられないみたいです。

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帰りも道中、ミニストップで食べたもの
地方の名産を食べようという意識がなくなるほど
結構疲れてました



   そんな危なっかしい運転を続けながらも、無事故無違反で走り続け、1213時、無事に帰還する事が出来ました。今回は事前のコンディションが今ひとつ、という事もあって、撮影も走りも今ひとつだった訳ですが、無事に帰って来た事こそ、次につなげられるというものです。

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1213時、無事帰還 シートを掛け終わって
すぐさまベッドに潜り込みました


----- 評価と反省 -----

*総論
   とにかく、夜明けの屏風ヶ浦を撮影する、という所定の目的を達成しなかった訳ですから、作戦的には失敗です。しかし、やはり遠出しただけの事はあって、近場では撮れない写真が撮れたのも確かでした。しかも、何度か来た所だけに、前回撮り漏らしたポイントでの撮影が出来るなど、通常のツーリングと異なり、撮影の場合は何度でも行く必要性がある事を感じさせられる遊撃戦でした。
   事前に出来るだけ情報を収集しておく事は大事だし、今回はそれをかなり怠った訳ですが、それでも何かして帰ろうという機転が身に付いてきた様な気がします
*撮影装備
   ローバーAW IIに撮影機材と雨具を入れて運用する方式は、今回も大いに役立ちました。撮影しようと決断して、三脚を立て撮影態勢に入るまでの時間は、まったくストレスを感じさせないものでした。このスタイルは、今後定番化するでしょう。
*単車装備
   今回は炊事関係の装備を全て下ろし、単車関係だけに絞ってチョイスしました。作戦用工具、対パンク装備の他、新たに前後タイヤのチューブを装備しました。これは自分でパンク修理をやる、という意味よりも、出先のバイク屋にパンク修理を頼む際に備えた意味合いの方が強いのでしが、荷物の重さは大抵なもので、チューブを装備するなら、対パンク装備の中身も少々検討しなおして、荷物を減らす必要があろうかと思いました。
*その他
   今回は、素早く撮影に移れる様、乗降車を容易にするために、出来るだけリアキャリアの荷物を低くする様に心がけました。そのお陰で、リアキャリアの荷物は高すぎず低すぎず、乗り降りするに不便をあまり感じず、かつ、バックパックを乗せて肩にかかる負担を軽減する事がでしました。ただし、帰りにフリースとお土産をリアバックに上乗せして積んだら、一気に背が高くなり、バックパックから突き出た三脚が干渉して、身体が前に突き出される感じになり、とても運転しにくくなりました。改善の余地があります。